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治療時間と回数を減らせるニッケルチタンファイル

JR札幌病院前オレンジ歯科の院長一柳です。
当院では皆様の根の治療をする際に大きく役立つニッケルチタンファイル XPエンドシェーパー というアイテムを使用しています。
ニッケルチタンファイルを上手に利用する事で大きく曲がった根管の場合でもスピーディな治療が可能になり来院回数を大きく減らせる事ができます。

その前にファイルという歯科器具についてですが、簡単にいうと歯根の治療において、細菌に汚染された歯根内部の汚染歯質を機械的に除去する掃除道具のことです
(針金のように細長いヤスリをイメージしてください)。
そのファイルの材質については現在大きく分けて2種類あり、ステンレススチール製とニッケルチタン製があります。
この内、ニッケルチタン製ファイルは現在各メーカー(国内、海外を問わず)が開発を競っており、改良が重ねられています。


ニッケルチタン製ファイルの最大の特徴はステンレス製ファイルに比べて非常に高い柔軟性を持つことです。
柔軟性がなぜ大切かというと、実際の歯牙では真っ直ぐな根管は少なく、その多くは湾曲しているからです
( Pineda F, Kuttler Y. Mesiodistal and buccolingual roentgenographic investigation of 7,275 root canals. Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1972 ; 33(1):101-10 )。
湾曲の強い根管に対して太いサイズのステンレススチールファイルを無理に使用してしまうと柔軟性が劣るために本来の根管形態から逸脱した根管歯質の削除をしてしまう場合があります。
また必要以上に内部の歯質を削りすぎることによる穿孔(穴を開けてしまうこと)や、修正困難な根管内部の段差を形成してしまう事もあります。


これに対して、ニッケルチタンファイルは患者さん本来の解剖学的な根管形態に沿って柔軟に変形しながら根管内部を清掃してくれます
( C. R.Glossen, R. H. Haller, S. B.Dove, C. D. del Rio. A comparison of root canal preparations using Ni-Ti hand, Ni-Ti engine-driven, and K-Flex endodontic instruments. Journal of Endodontics. 1995 ; 21(3):146-151 ) ( J A Short, L A Morgan, J C. A comparison of canal centering ability of four instrumentation techniques. Journal of Endodontics. 1997 ; 23(8):503-7 ) 。


さて、柔軟性については各社ともに非常に優秀なニッケルチタンファイルを販売しておりますが、
現在市販されている多くのニッケルチタンファイルはある種のモーター(トライオートやX-smart IQなど)に装着し、回転運動をさせながら使用します。
そのため、水平的断面形態が円形に近い根管の場合はどのメーカーが販売しているニッケルチタンファイルでも比較的問題なく根管内壁を綺麗にお掃除できるのですが、断面形態が円形とは大きく異なる場合、回転運動をさせてもニッケルチタンファイルが触れることのできない部位が根管内壁に残ってしまう事があります。
実際問題、歯の水平断面は単純な円形とは限らず、扁平な楕円形態をしたものからアルファベットの”C”(日本人では下顎の第二大臼歯に多い)に似た形態まで非常に多彩です。
当院で使用しているXPエンドシェーパーはらせん状の形態をしており、断面が楕円程度であれば回転操作で無理なく根管内壁の全周を綺麗にお掃除できます。


一方でニッケルチタン製ファイルにほぼ共通する欠点として、高価格と疲労破折が問題に挙げられます。
ニッケルチタン製ファイルは1本あたり数千円もするのがほとんどです。
歯科医院の多くは滅菌しながら再利用しているケースが多いでしょうが、メーカー推奨の使用限度を超えるとニッケルチタン製ファイルは不意に破折を起こすリスクが高まります。
個人的な使用実感ですが、XPエンドシェーパーは根管内部にてバインドされる感覚が弱いので破折しても比較的容易に除去可能な場合がほとんどであると感じています
(その分、予備拡大を他社製の場合よりも徹底しておく必要はありますが)。
ニッケルチタンファイルについては各社ともに特徴的な製品を販売しており、それぞれの利点欠点があると思います。
いずれにしろ使用するドクターがその特性をよく理解して責任を持って使用していく事が大切と考えます。


ちなみにステンレススチール製ファイルを全く使用していないかというと、
そういうわけではなく先述の予備拡大など、現在も頻繁に使用しております。
このことについてはまた後日の機会に取りあげていきます。

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医療法人 永孝会
JR札幌病院前オレンジ歯科
口臭と歯周病改善・予防&歯と歯肉のホワイトニングクリニック
院長 一柳秀作

〒060-0034
北海道札幌市中央区北4条東1丁目3-1
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TEL 011-596-6874

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